離婚時の慰謝料とは?請求できるケース・相場・時効を行政書士が解説【2026年版】

「離婚するとき、慰謝料はいくら請求できる?」
「不倫やDVがあれば、必ず慰謝料を請求できる?」
「慰謝料と財産分与は何が違う?」
「離婚してからでも慰謝料を請求できる?」
離婚を考えている方の中には、このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
離婚に伴う慰謝料は、離婚すれば必ず発生するものではありません。相手方の行為によって精神的な苦痛を受けたことなど、一定の要件を満たす場合に請求できる可能性があります。
裁判所も、慰謝料について「相手方の不法行為によって被った精神的苦痛を慰謝するための損害賠償」であり、相手方の行為によって離婚せざるを得なくなったような場合などに請求できると案内しています。
この記事では、離婚時の慰謝料について、請求できるケース、金額を左右する事情、時効、財産分与との違い、離婚協議書への記載方法などを行政書士がわかりやすく解説します。
離婚時の慰謝料とは?
離婚時の慰謝料とは、離婚の原因となった相手方の行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償です。
例えば、配偶者の不貞行為やDVなどによって婚姻関係が破綻し、離婚に至った場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。
裁判所でも、離婚の原因を作った配偶者に対する慰謝料請求について、家庭裁判所の調停手続を利用できることが案内されています。
ただし、
離婚した=必ず慰謝料が発生する
というわけではありません。
性格の不一致や価値観の違いだけで離婚する場合など、相手方に慰謝料の支払義務が認められるとは限らないケースもあります。
離婚時に慰謝料を請求できる主なケース
離婚慰謝料が問題になる代表的なケースには、次のようなものがあります。
* 不貞行為(不倫・浮気)
* DV・暴力
* モラハラなどによる精神的苦痛
* 悪意の遺棄
* その他、相手方の違法・有責な行為によって婚姻関係が破綻した場合
ただし、具体的な事情によって請求の可否や金額は変わります。
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不貞行為(不倫・浮気)
離婚慰謝料で特に問題になるのが、配偶者による不貞行為です。
法律上の「不貞行為」は、一般的な「浮気」という言葉よりも狭く、原則として配偶者以外の者との性的関係を指します。
不貞行為によって婚姻関係が破綻し、離婚に至った場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。
ただし、不貞行為があれば必ず一定額の慰謝料が認められるわけではありません。
例えば、
* 不貞行為が行われた期間
* 回数
* 婚姻期間
* 不貞行為によって婚姻関係がどの程度悪化したか
* 子どもの有無
* 不貞行為を認めているか
* 不貞行為後の対応
など、さまざまな事情が考慮されます。
また、最高裁判例上、配偶者と不貞行為をした第三者に対する「離婚に伴う慰謝料」の請求には、単に不貞行為をしたというだけでは足りず、夫婦を離婚させることを意図した干渉など、特段の事情が必要とされています。
そのため、「配偶者の不倫相手なら必ず慰謝料を請求できる」と考えるのは正確ではありません。
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DV・暴力
配偶者から暴力を受けていた場合も、慰謝料請求が問題となることがあります。
例えば、
* 殴る・蹴る
* 物を投げつける
* 暴力によってけがをさせる
* 継続的に暴力を振るう
などです。
DVの場合には、診断書、写真、警察への相談記録、メールやLINEなど、事実関係を裏付ける資料が重要になる場合があります。
身体的な暴力については、慰謝料だけでなく安全確保そのものが重要です。
モラハラの場合は慰謝料を請求できる?
モラハラについても、具体的な行為の内容や程度によっては慰謝料が問題になる場合があります。
例えば、
* 長期間にわたって人格を否定する発言を繰り返す
* 威圧的な言動を継続する
* 極端に精神的な苦痛を与える行為を繰り返す
などです。
ただし、
「夫婦げんかが多かった」「性格が合わなかった」
というだけで、当然に慰謝料が認められるわけではありません。
どのような発言・行為が、いつ、どのくらいの期間続いたのかなど、具体的な事情が重要になります。
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悪意の遺棄
配偶者が正当な理由なく夫婦としての義務を放棄した場合も、慰謝料が問題となることがあります。
例えば、
* 生活費を渡さない
* 正当な理由なく家を出て戻らない
* 配偶者を放置して生活を顧みない
などです。
ただし、別居しているという事実だけで直ちに「悪意の遺棄」に該当するわけではありません。
別居に至った経緯や夫婦双方の状況などを踏まえて判断されます。
離婚すれば慰謝料を必ずもらえる?
いいえ。
離婚そのものによって当然に慰謝料が発生するわけではありません。
例えば、
* 性格の不一致
* 価値観の違い
* 将来の考え方の違い
* 夫婦関係が徐々に悪化した
といった事情だけでは、慰謝料請求が認められないことがあります。
慰謝料は、基本的に「精神的苦痛を与えた原因となる行為」が問題となるためです。
裁判所も、慰謝料について「相手方の不法行為によって被った精神的苦痛」を慰謝するための損害賠償と説明しています。
離婚慰謝料の相場はいくら?
「離婚慰謝料はいくらもらえるのか?」は、多くの方が気になるところです。
しかし、離婚慰謝料について法律で一律の金額が定められているわけではありません。
そのため、
「不倫なら必ず300万円」
「DVなら必ず200万円」
というように単純に決めることはできません。
実際の金額は、具体的な事情を踏まえて判断されます。
一般的な実務上の目安として、不貞行為による慰謝料について数十万円から数百万円程度の金額が問題となるケースがありますが、これはあくまで目安であり、事案によって大きく異なります。
特に重要なのは、「相場=必ず受け取れる金額」ではないということです。
慰謝料の金額を左右する主な事情
慰謝料の金額を考える際には、次のような事情が問題になります。
【婚姻期間】
婚姻期間が長いことだけで高額になるわけではありませんが、その他の事情と合わせて考慮されることがあります。
不貞行為・DVなどの期間や程度
行為が長期間・反復継続している場合や、精神的・身体的な被害が大きい場合には、慰謝料額に影響する可能性があります。
【子どもの有無】
子どもの存在や家庭への影響などが、具体的事情として考慮されることがあります。
離婚に至った経緯
単に不貞行為などが存在しただけでなく、その行為によって婚姻関係がどのように悪化し、離婚に至ったのかも重要です。
【相手方の対応】
行為を認めているか、反省しているかなども、個別の事情として問題になることがあります。
慰謝料と財産分与は何が違う?
慰謝料と財産分与は、どちらも離婚時に「お金を受け取る」ことがあるため、混同されがちです。
しかし、制度の目的は異なります。

財産分与は、夫婦が婚姻中に形成した財産の公平な分配などを目的とする制度です。法務省も、財産分与と慰謝料は異なる制度として案内しています。
したがって、
「財産分与を受けたから慰謝料は請求できない」
とも、
「慰謝料を受け取ったから財産分与はできない」
とも一律にはいえません。
離婚条件を決める際には、それぞれを分けて整理することが重要です。
『関連記事はこちら』
離婚時の財産分与とは?対象となる財産・割合・期限を行政書士が解説【2026年版】|行政書士クレデンス事務所(明石駅徒歩5分)
慰謝料請求には証拠が必要?
慰謝料請求を検討している場合、相手方の行為を裏付ける資料をできるだけ整理しておくことが重要です。
例えば不貞行為であれば、
* LINE・メール
* 写真
* SNSの記録
* ホテル等の利用記録
* 相手方が不貞行為を認めた記録
* その他、不貞行為を裏付ける資料
などが考えられます。
DVであれば、
* 診断書
* けがの写真
* 暴言等を記録したメモ
* メール・LINE
* 警察や相談機関への相談記録
などが問題となる場合があります。
ただし、どの証拠が決定的になるかは具体的な事案によって異なります。
また、証拠の収集方法によっては別の法的問題が生じる可能性もあるため、慎重に対応する必要があります。
離婚後でも慰謝料を請求できる?
離婚後でも慰謝料を請求できる場合があります。
裁判所も、離婚後に離婚原因を作った配偶者に対して慰謝料を求める場合、家庭裁判所の「慰謝料請求調停」を利用できると案内しています。
ただし、慰謝料請求には時効があります。
離婚慰謝料の時効は何年?
不法行為に基づく慰謝料請求について、民法724条は、原則として、
損害および加害者を知った時から3年間
行使しないときに時効によって消滅すると定めています。
また、原則として不法行為の時から20年間という期間制限もあります。
DVなど「生命・身体を害する不法行為」の場合
民法724条の2では、生命または身体を害する不法行為について、知った時からの期間が3年ではなく5年とされています。
そのため、DVなど身体への被害が関係するケースでは、一般的な不法行為による慰謝料とは時効の扱いが異なる可能性があります。
具体的な時効の起算点や請求権の内容は事案によって変わるため、期限が迫っている場合は早めに弁護士等へ相談することをおすすめします。
慰謝料の請求方法
慰謝料を請求する方法には、主に次のようなものがあります。
① 夫婦間で話し合う
離婚前であれば、離婚条件の一つとして慰謝料について話し合うことができます。
合意できた場合には、金額や支払方法などを明確にしておくことが重要です。
② 離婚協議書を作成する
慰謝料について合意した場合には、口頭だけで終わらせず、離婚協議書などに内容を残しておく方法があります。
③ 公正証書を作成する
慰謝料を分割払いにする場合など、支払いが将来にわたるケースでは、公正証書の利用を検討することもできます。
④ 家庭裁判所の調停を利用する
話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所の調停手続きを利用する方法があります。 裁判所には「慰謝料請求調停」の手続が用意されています。
慰謝料を離婚協議書に記載するときのポイント
慰謝料について夫婦間で合意した場合には、後から「言った・言わない」という問題にならないよう、具体的に書面化することが重要です。
例えば、次の事項を明確にします。
* 慰謝料の金額
* 支払期限
* 支払方法
* 振込先
* 一括払いか分割払いか
* 分割払いの場合の各回の支払額・支払日
* 支払いが遅れた場合の取り扱い
* 慰謝料以外の金銭との関係
例えば、
甲は乙に対し、本件離婚に伴う慰謝料として金○○万円を支払う。
というように、何のための金銭なのかを明確にすることが重要です。 実際の離婚協議書では、個々の事情に応じて条項を検討する必要があります。
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慰謝料を分割払いにする場合の注意点
慰謝料を分割払いにする場合は、特に注意が必要です。
例えば、
「毎月5万円を支払う」
だけではなく、
* 毎月何日までに支払うのか
* 何回払いなのか
* 最終支払日はいつなのか
* 振込手数料はどちらが負担するのか
などを明確にしておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。
また、将来の不払いが心配な場合には、公正証書の作成を検討することも重要です。
慰謝料と「清算条項」の関係に注意
離婚協議書を作成する際には、最後に「清算条項」を設けることがあります。
清算条項とは、簡単にいうと、
この協議書に定めた事項以外には、お互いに何らの請求をしない
という趣旨の条項です。
そのため、慰謝料についてまだ話し合いが終わっていない段階で、安易に「今後一切請求しない」という内容の条項を入れることには注意が必要です。 慰謝料について合意したのか、今後請求しないことまで合意したのかを明確にすることが重要です。
行政書士に離婚慰謝料の相談をする場合のポイント
離婚時に慰謝料について夫婦間で話し合い、「慰謝料として○万円を支払う」など、ある程度合意ができている場合は、その内容を曖昧なままにせず、書面に残しておくことが大切です。
慰謝料は、金額だけを決めればよいわけではありません。
例えば、
* 慰謝料の金額
* 支払期限
* 一括払い・分割払いの別
* 分割払いの場合の支払回数・毎月の支払額
* 支払方法
* 振込手数料の負担
* 支払いが遅れた場合の取り扱い
* 財産分与や養育費との関係
* その他の離婚条件
など、後からトラブルにならないよう、具体的な条件まで整理しておくことが重要です。
「慰謝料を払ってもらうことは決まったけれど、書面の作り方が分からない」
「自分で離婚協議書を作ってみたものの、この内容で問題ないか不安」
「慰謝料だけでなく、財産分与や養育費などの条件もまとめて整理したい」
このような場合には、行政書士に離婚協議書の作成を依頼することで、合意した内容を整理し、書面として残すことができます。
特に、慰謝料を分割払いにする場合は、支払回数や期限などを具体的に定めておくことが重要です。
また、将来の支払いについてより強い効力を持たせたい場合には、公正証書の作成を検討することもできます。
一方で、
「相手に慰謝料を請求してほしい」
「慰謝料を○万円払うよう相手と交渉してほしい」
といった相手方との代理交渉や、争いのある慰謝料請求については、行政書士が行うことのできる業務の範囲を超える場合があります。
すでに夫婦間で条件がまとまっている方であれば、「合意した内容をきちんとした書面にしておきたい」という段階から行政書士にご相談いただけます。
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慰謝料について相手と合意できない場合は?
慰謝料について話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の調停を利用することができます。
裁判所によれば、離婚前であれば夫婦関係調整調停(離婚)の中で慰謝料について話し合うことができ、離婚後であれば慰謝料請求調停を利用できます。 家庭裁判所の調停では、離婚に至った経緯や離婚原因などについて事情を確認し、必要に応じて資料を提出して話し合いを進めます。
離婚慰謝料についてよくある質問
Q. 性格の不一致でも慰謝料を請求できますか?
性格の不一致だけを理由として、当然に慰謝料が認められるわけではありません。
慰謝料は、相手方の行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償であるため、具体的な事情が重要です。
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Q. 不倫があれば必ず慰謝料をもらえますか?
必ずではありません。
不貞行為の存在だけでなく、婚姻関係の状況や不貞行為による影響など、具体的な事情によって判断されます。
また、不倫相手への請求については、配偶者に対する離婚慰謝料とは異なる問題があるため注意が必要です。最高裁判例でも、配偶者の不貞行為を理由とする第三者への離婚慰謝料請求について一定の要件が示されています。
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Q. 慰謝料と財産分与をまとめて請求できますか?
離婚時の条件として、慰謝料と財産分与の双方について話し合うことは可能です。
ただし、両者は目的・性質が異なるため、合意書ではそれぞれの内容を明確にしておくことが重要です。
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Q. 離婚協議書に慰謝料を書けば十分ですか?
夫婦間の合意内容を書面に残すことは重要ですが、支払いが将来にわたる場合には、公正証書の利用も検討する価値があります。 特に分割払いの場合は、支払条件を具体的に定めておくことが重要です。
離婚慰謝料は「請求できるケース」と「書面化」が重要
離婚時の慰謝料は、離婚すれば必ず発生するものではありません。
不貞行為やDVなど、相手方の行為によって精神的苦痛を受けた場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。
一方で、慰謝料には法律で決められた一律の「相場」があるわけではなく、婚姻期間、行為の内容・期間、精神的苦痛、離婚に至った経緯など、さまざまな事情によって金額が変わります。
また、不法行為に基づく慰謝料請求には原則として時効があるため、「そのうち請求すればよい」と考えず、早めに確認することが大切です。
夫婦間で慰謝料について合意できた場合には、
金額 → 支払方法 → 支払期限 → 分割条件など
を明確にして、離婚協議書などに残しておくとよいでしょう。
相手方との交渉や調停・訴訟など、紛争性のある問題については、弁護士への相談を検討してください。
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